「どうせダメ」から抜け出そう!

2020/01/21

お役立ち情報

転職活動などで、「自分では頑張っているつもりなのに、なかなか選考を通過しない」と落ち込んだり、過去の失敗をつい思い出して「どうせ自分は何をやってもダメなんだ」と行動する気が起きなかったり…。こんなことってありませんか?
でも、その「どうせ自分なんか…」という諦めは、考え方を変えることで、克服できるかもしれません。今回は、前向きな気持ちになるためにはどうしたら良いのかを一緒に考えていきましょう。

前向きな人とそうでない人の違いって?

そもそも人によって、前向きな人とそうでない人がいるのはどうしてなのでしょうか? アメリカの心理学者であるウィリアム・ジェームズは、その違いを自尊感情(自尊心)によるものと唱えました。自尊感情とは、自分の弱さや欠点などを受け入れ、自分を好ましく思う感情のことを言います。

ジェームズは、自尊感情を、成功÷願望という公式で表現できるとしています。

出典:「決定版 面白いほどよくわかる!心理学」 渋谷昌三 西東社 2017

例えば、転職活動をしていて、内定を目標としている場合、「この会社に受かりたい」という気持ちが大きければ大きいほど、分母の願望値も高まることになります。そのため、失敗した時には、自尊感情は低くなります。ですので、今自分に自信が持てないと落ち込んでいる方は、もしかしたらそれだけ目標に対しての気持ちが強いのかもしれません。

反対に、失敗を繰り返していても、願望値が高くない場合には、自尊感情も低くなることはありません。そのため、時には、過度に期待しないということも有効かもしれませんね。

何を成功とするのかは人それぞれです。たとえ、物事がうまくいかなくても、「この失敗を次につなげよう」「これも成功のうちだ」と捉えられる人は自尊感情が高くなります。

あなたは、自尊感情が高い?低い?

ここで、アメリカの心理学者ローゼンバーグが唱えたテストを行ってみましょう。これから記す10の質問に以下の4択で答えてください。答え終わったら、合計点を出してくださいね。

<4択>

「いつもそう思う」(4点)

「ときどきそう思う」(3点)

「あまりそう思わない」(2点)

「まったくそう思わない」(1点)

<質問>

①自分に満足している

②時々自分はダメだと思う

③自分にはいくつか見どころがある

④友だちと同じくらい、いろいろなことができる

⑤得意なことがあまりない

⑥「役に立っていない」と感じることがある

⑦他の人と同じくらい価値がある人間だと思う

⑧もっと自分を尊敬できたらと思う

⑨何をやっても失敗するのではと思ってしまう

⑩自分は前向きである

合計点を出したら、結果を見ていきましょう。

合計点が25点までだった場合…自尊感情が低い人

合計点が26点以上だった場合…自尊感情が高い人 となります

さて、あなたの結果はどうでしたか?

ローゼンバーグは、被験者にこのテストを行う中で、自尊感情の低い人は自分自身を他人と比べて評価する傾向があるのに対し、自尊感情の高い人は、「人は人、自分は自分」と考えられる人であると結論づけました。

自尊感情を高めれば、「どうせダメ」から抜け出せる

「どうせダメ」という後ろ向きな考え方には、自尊感情が大きく関係しているということがお分かり頂けたかと思います。それでは、どうすれば自尊感情を高められるのでしょうか?

自尊感情を支えているのは、成功体験によるものが大きいとされています。過去の成功体験が多ければ多いほど、自尊心も高くなります。ですので、皆さんも小さなことで構いませんから、コツコツと成功体験を積み上げていきましょう。いきなり多くの目標を立てるのではなく、小さな目標を立ててそれをクリアしていくことで、成功体験を積み上げやすくなります。

例えば、就職・転職活動であれば、いきなり「内定する」という大きな目標を立てるのではなく、「自己分析をする」「企業探しをする」「1社応募してみる」など小さな目標を立ててみましょう。そして、それをクリアできたら、自分をほめてあげましょう。

その際、失敗しても、それを出来るだけ引きずらず、前向きに捉えられるように意識を持っていきましょう。つまり、何か失敗した場合も、落ち込むのではなくて、なぜ失敗したのか考えるクセをつけるのです。そうすることで、何か新しい問題に直面した時も、臨機応変に対応できるようになりますし、過去の反省を応用させることもできるかもしれません。

自尊心が高い人は失敗をものともしません。これは、ある意味で楽観的とも言えます。逆に、自尊心が低い人は、失敗することへの不安が大きく、実際に失敗した際もくよくよと悩んでしまいます。そうなると、何を行うのも億劫になり、委縮するようになります。そんな状態だと、うまくいくものもうまくいかなくなってしまいますので、何か物事に取り組む時は、前向きな姿勢を大切にしてくださいね。

「どうせダメ」と考えてしまう、もう1つの理由

「どうせダメ」と思い悩んでしまう、もう1つの理由として、「学習性無力感」が挙げられます。学習性無力感とは、アメリカの心理学者であるマーティン・セリグマンが提唱した概念で、長期間回避できないような厳しい状況に置かれた時、その状況に立ち向かう行動がとれなくなることを言います。

セリグマンは、次のような実験を行いました。まず、2匹の犬に違う方法で電気ショックを与えます。1匹には、犬がボタンを押すと電気ショックを回避できるような装置をつけ、もう1匹の犬には、その装置をつけることなく、電気ショックを与え続けました。 実験後、飛び越えられる高さの仕切りがついた部屋で、今度は2匹とも同様に電気ショックを与えました。すると、前の実験で電気ショックを回避することを覚えた犬は、仕切りを飛び越え、電気ショックを避けましたが、それに対し、電気ショックを与え続けられた方の犬は何も行動を取ろうとしませんでした。

セリグマンは、これらの実験を通して、「無気力状態は学習によって作られるもの」と結論づけました。つまり、後者の犬は、「電気ショックは何をやっても回避できない」という体験をしたことから、「何をしてもムダだ」という「無力感」を学習してしまったのです。

人もこれと同じで、どうにもならない状態が続くと、学習性無力感を持つようになります。

例えば、「受けても受けてもどの企業からも内定がもらえない」といったことが長く続くと、「何をやってもダメなんだ」という考えを「学習」してしまいます。そうすると、その環境から逃げ出す気力がなくなり、転職活動をすること自体が億劫になってしまいます。

この「学習性無力感」が身につくと、自分を無価値な存在としか捉えられず、たとえ人から評価されたり、ほめられても、素直に受け取ることが出来なくなり、負のスパイラルに陥ってしまいます。「何をしても無駄」という絶望感が行動する気力を奪ってしまうのです。

学習性無力感に陥ったら?

「どうせダメ」から抜け出すためには、あらかじめ「学習性無力感」を回避する努力も必要です。しかし、努力してもどうしようもなくて、学習性無力感に陥ってしまったら、まずは「気づき」を深めましょう。

自分は、どんなことが原因でこのような状態になったのか、を冷静に考えてみて下さい。友人や家族、または人材コーディネーターなどに現状を話し、客観的なアドバイスを求めるのも良いでしょう。もしかしたら、自分自身では気付いていなかった原因が見えてくるかもしれません。

次に、自分が今まで行ってきた経験や努力を改めて振り返ってみます。そして、今までやってきたことは無駄ではなかった、と前向きに考えていきましょう。そうして自信を取り戻すことができれば、きっとエネルギーの回復にもつながり、学習性無力感から抜け出せるはずです。

なかなか良い結果が出なくても、焦らずにゆっくり前に進んでいきましょう。そして、人からほめられた時や感謝された時には、素直にそれを受け取るようにしてくださいね。自分は評価されている、誰かの役に立っていると感じるだけで、きっと自分のことを肯定できるようになっていくはずです。

<参考書籍・サイト>
決定版 面白いほどよくわかる!心理学 渋谷昌三 西東社 2017
よくわかる心理学 渋谷昌三 西東社 1999

 ライター紹介:かたこりこ
大学では心理学を専攻。卒業後は、ラジオ番組の原稿やフリーペーパーの執筆、教科書系出版社勤務などを経て現在に至る。趣味は読書、映画・お笑い鑑賞。東京都出身。冬生まれだけど、寒いのは苦手です。