人間関係の悩みに有効なアサーションとは?

2020/02/04

お役立ち情報

「面接で自分の言いたいことが言えない」「なかなか仕事を覚えない後輩に、つい攻撃的に接してしまう」こんな方はいませんか?今回は、人間関係に何らかの悩みを抱えている方に有効な「アサーション」についてご紹介します。

アサーションとは?

アサーションとは、自己主張のことを言います。アサーション訓練(自己主張訓練)は、もともとは行動療法という学習理論に基づいて行動を改善させる心理療法の中から生まれたもので、不安障害の患者に用いられていましたが、最近では、企業などでも幅広く行われるようになりました。

不安障害……精神疾患の中で、不安を主症状とする疾患群をまとめた名称のことで、パニック障害や強迫性障害などがこれに含まれます。

アサーションには3つのタイプがある!

アサーションの理論では、人間関係の持ち方(人との関わり方)を以下の3つのタイプに大別できると言われています。詳しく見ていきましょう。

アグレッシブ(攻撃的)

考え方が自己中心的で相手のことは全く考慮に入れず、他者を踏みにじるような態度で接します。相手がどんな気持ちになるかなどは考えずに、相手の心に土足で踏み込んだ言動を取ります。

ノンアサーティブ(非主張的)

自分の考えや感情は後回しにして、他者を優先します。自分に自信が持てず、自分より周りの人を優先することが相手への誠意であると信じていることが多いようです。このタイプはストレスが溜まりやすいと言えるでしょう。

アサーティブ

自分のことも相手のこともきちんと考え、自己主張しつつもお互いにとって最も良い妥協点を見つけようとします。例え、異なる意見を持っていても、頭ごなしに相手を打ち負かしたり、遠慮して相手に合わせたりするのではなく、歩み寄って納得のいく結論を探ろうとしますので、理想的なタイプと言えるでしょう。

「アサーティブ」……アサーションの形容詞であり、意味は同じです。

人とコミュニケーションをとる際には、自分と相手、双方の気持ちを大切にしつつ、自己表現することが必要になってきます。

アサーション訓練を実際にやってみよう!

日々、少しずつ意識するだけでもアサーティブなコミュニケーションを身に付けることができます。人間関係のストレスを減らし、快適な毎日を過ごすために、ここでは2つのアサーション訓練法をご紹介します。

アサーション訓練①:DESC法

DESC法とは問題解決のためのアサーションとも呼ばれており、頼み事をしたり、言いにくいことを伝えたりするときに役立つ方法です。

この順番で話すことによって、自分の意見をアサーティブに伝えることができます。これら4つの過程の頭文字をとってDESC法と言います。

ここでは例として、定時に仕事を終えて帰宅準備をしているあなたに、先輩が仕事を頼んできたとします。あなたには予定があり、頼まれた仕事は自分の担当業務以外の内容です。先輩の依頼をどのように断ればいいのかをDESC法で考えてみましょう。

1.Describe(描写する)

問題となっている状況を客観的に伝えます。具体的な事実を伝え、自分の考えや感情など主観的な内容は伝えないようにします。

(例)「申し訳ないのですが、今日はあいにく予定が入っています。また、こちらの仕事は私の担当業務ではないのですが…。」

2.Explain(説明する)

自分の考えや感情(主観)を伝えます。1のDescribeで伝えたことに対する自分の気持ちや相手の気持ちへの共感を伝えます。相手に感情をぶつけるのではなく、相手と対等な立場で寄り添うことを意識します。

(例)「仕事が多くて大変そうですね。引き受けたいのは、やまやまなのですが、本日はお役に立てそうになくて申し訳ありません」

3.Suggest(提案する)

自分と相手、双方にとって最適な解決方法を提案します。

1のDescribeや2の Explain を参考に、自分ができる妥協案や解決策を具体的に提案します。ここでは、あくまで「~はどうか」といった提案であることが大切です。相手への押し付けにならないよう気を付けましょう。

(例)「教えて頂けるのであれば、明日お手伝いできると思うのですが、いかがでしょうか?」

4.Choose(選択する)

ここで、あらかじめ相手が提案にYES、NOを示した場合を想定しておきます。相手には断る権利がありますから、相手がNOと言った場合の代替案を考えておくといいでしょう。

(例)YESの場合→「それでは明日お手伝いいたします。申し訳ないですが今日は失礼します。」
 NOの場合→「それでは内容がわかりそうな同僚に声をかけてみましょうか」

アサーション訓練②「I(アイ)」メッセージ

こちらも簡単に取り入れやすいアサーションのコミュニケーションスキルで、自分の気持ちを相手に正直に伝えるときに役立ちます。「I(アイ)」とは「私は(が)」の意味ですが、相手に伝えるときの主語を「私は(が)」とするだけで、アサーティブな伝え方ができるようになります。

例えば、待ち合わせに30分遅れた友人に対し、「30分も遅れてくるなんて、失礼だね」という言葉は「YOU」メッセージとなります。「30分も遅れるなんて、あなたは(YOU)失礼だ」と相手を非難しているからです。では、これを「I(アイ)」メッセージに変換してみるとどうなるでしょうか?

「あなたが30分遅れてきたことで、私は(I)悲しかった」となります。こうすれば、相手を責めるのではなく、相手が遅刻した事実に対して自分がどう思ったのかを伝えるメッセージになります。

今度は、立場を入れ替えて考えてみましょう。

あなたは遅刻したことを申し訳なく思っていますが、急遽残業をしなくてはならなくなり、連絡もできませんでした。そんな時、友人に「YOU」メッセージで一方的に非難されたら、自分が悪いのは分かっていても思わず反発したくなるかもしれません。でも「I(アイ)」メッセージで相手が気持ちを伝えてきたら、素直に謝る気になりませんか?

このように、「I(アイ)」メッセージを使うことで、相手を非難することなく自分の気持ちを正直に伝えることができるようになります。

いかがでしたか?相手と自分の考えに相違があった場合には、葛藤が起こります。そんな時は相手の意見を否定するでもなく、自分の考えを押し殺すのでもなく、お互いの意見を出し合って、納得出来る答えを導き出せるようにすることが大切です。

また、企業の採用選考においても、コミュニケーションスキルは評価項目として設定されている場合がほとんどです。ぜひ、皆さんもアサーティブな自己表現を日頃から心がけて、人間関係や転職活動に役立ててくださいね。

<参考書籍・サイト>
決定版 面白いほどよくわかる!心理学 渋谷昌三 西東社 2017
メンタルヘルス・マネジメント検定試験公式テキスト III種 セルフケアコース<第3版>
大阪商工会議所 中央経済社 2013
アサーションで、上手に伝える。