職場のストレスによって起こりやすい心身症とは?

2020/03/17

お役立ち情報

ストレスフルな現代社会の中、まったくストレスがないという人はいないでしょう。適度なストレスは健康に良いとも言われていますが、溜まり過ぎると病気になりやすくなるというリスクもあります。
今回は、ストレスが関係する身体の病気である「心身症」や、心身症になった時の対処法についてご説明します。

心身症って何?          

ストレスがきっかけとなって起こる様々な内科的疾患のことを総称して、「心身症」と言います。
心身症による身体疾患は大きく2つに分けられます。

  • 目に見える形で異常が生じる場合の疾患
    例)胃潰瘍、十二指腸潰瘍など

  • 筋肉や内臓の緊張・運動などの機能システムに異常が生じる場合の疾患
    例)緊張型頭痛、過敏性腸症候群など

心身症になりやすい人は?

心身症になりやすい人の大きな特徴として、以下の3つが挙げられます。

・感情の処理が下手

ストレスを感じた時にうまく発散できないので、ストレスがどんどん溜まっていく傾向があります。

・周囲に合わせ過ぎてしまう

主張したいことがあっても、それを押し殺し、周囲にいつも合わせようとするので、持続的にストレスを受けてしまう傾向があります。

・不安や緊張の強い人

 普段から不安を抱きやすい人、また緊張しやすい人は、ストレスを感じやすくなります。

職場で見られやすい心身症は?

では、社会人に起こりやすい心身症にはどんなものがあるのでしょうか。
代表的なものとしては、緊張型頭痛、過敏性腸症候群、摂食障害が挙げられます。それぞれの症状など詳しく見ていきましょう。

<緊張型頭痛>

頭が強く締めつけられるような頭痛が起こります。ジワジワとした痛みが連続的に起こるのが特徴です。強いストレスや同じ姿勢を続けたことによって(長時間のデスクワークなど)、血行不良になり、首や頭の筋肉が緊張してしまうことが原因です。日常生活に多少差し障りはありますが、寝込むほどではなく、通常吐き気もありません。

自分でできる対処法としては、意識的にリラックスする時間を持つことや、入浴、軽い運動・ストレッチ(同じ姿勢を続けないようにする)、肩や首を温めることなどがあります。病院にかかった場合の治療では、緊張を緩和する薬を使う場合もあります。それでもなかなか治らない時には、心理療法である認知行動療法が取り入れられることもあります。

<過敏性腸症候群>

検査をしても異常がないのに、腹痛があり、下痢や便秘が起こる消化管の疾患です。過敏性腸症候群は、下痢型、便秘型、不安定型の3つに大別され、症状は数か月以上続くことが多いです。

①下痢型
緊張により大腸全体が細かくけいれんしている状態です。会議やプレゼンテーション前、また、出勤途中など緊張する場面で起こりやすくなります。

②便秘型
肛門に近い部位の大腸が強く収縮して、便の通過を妨げている状態です。

③不安定型
緊張などにより大腸がけいれんし、下痢と便秘が交互に起こる状態です。
また、症状は、腹痛、下痢、便秘だけではありません。以下に記したような他の身体症状や精神症状を合併する場合もあります。

・身体症状

食欲不振、嘔吐、胸やけ、胸部不快感、頭痛、めまい、息切れ、不眠、疲労感

・精神症状

不安感、抑うつ感(気分が落ち込んで何もする気になれない)、意欲低下

腹部の症状のために、急行電車に乗れなかったり、電車に乗っていても何度も途中下車したり、また仕事中も何度もトイレに駆け込むなど、仕事に差し障りが出ることも少なくありません。そのままの状態で放っておくと長期化する可能性もありますので、症状で悩んでいる方は早めに心療内科で診察を受けるようにしましょう。治療としては、一般的に薬物療法や精神療法が行われます。

<摂食障害> 

食事や体重に対して異常にこだわったり、太ることに対して恐れを持っていたりすることを特徴とします。思春期から青年期にかけた女性に多く見られる疾患です。
摂食障害は、拒食症(神経性食欲不振症)と過食症(神経性大食症)に分けられます。

・拒食症(神経性食欲不振症)

やせたいという願望や、太ることへの恐れ(肥満恐怖)から、実際はやせていても「自分は太っている」と思い込み、極端な食事制限をしたり、食べ物を自分から吐いたり、下剤を乱用したりします。活動性が高く、仕事を休むことなく熱心に残業などを続ける特徴があります。

過食症(神経性大食症)

一気に大量に食べ、直後に嘔吐したり、下剤を乱用したりして体重の増加を防ごうとします。過食や自己嘔吐後は、自己嫌悪に陥り、気分がひどく落ち込むこともあります。
また、発作的にリストカットなどの自傷行為に走るケースも少なくありません。 

摂食障害にかかっていても、自分では気づいていない場合もあります。例えば、日常生活に支障をきたすほど体力が落ちていたり、食事にかかる費用がかさんだりしている場合は、ひとりで抱え込まず、早めに家族や友人など信頼できる人に今の状況を話すようにしましょう。また、症状が悪化している場合は、心療内科のある病院で治療を受けましょう。

ご紹介した3つ以外に、職場のストレスで起こりやすい心身症としては、消化性潰瘍(胃潰瘍・十二指腸潰瘍)、気管支喘息、糖尿病、高血圧症などが挙げられます。また、心筋梗塞や脳卒中などの重い疾患が起こることもあります。

もし、これらの症状に思い当たる節があるという方は、ストレスを抱え込んでいることが考えられますので、その要因が何であるかはっきりさせることが必要です。

ストレスの要因が職場にありそうなら、業務量や時間外労働が多くないかなど、今の自分の状況を振り返ってみましょう。そして思い当たることがあれば、職場の状況を改善できないかどうか上司にかけあって、サポート体制を整えてもらいましょう。

もし、聞く耳を持たなかったり、聞き流されたりするような場合、その会社はブラック会社かもしれません。そのせいで健康を害したら、元も子もありませんので、転職することを視野に入れてみるのもよいかもしれません。

身体症状の出ている原因が心理的な要因であることに気づかないことも多々あります。そのため、心身症は早い時期での発見が難しいとも言われています。

何らかの身体症状が出ている場合には、その症状に合った科でまずは治療を受けるようにしてください。症状がなかなか改善しない時や、ストレスが溜まっていることを自覚していて、体調が良くない状態が続く場合には、心療内科にかかることが望ましいでしょう。

<参考書籍>
メンタルヘルス・マネジメント検定試験公式テキスト III種 セルフケアコース
<第3版>2013 / 大阪商工会議所

 ライター紹介:かたこりこ
大学では心理学を専攻。卒業後は、ラジオ番組の原稿やフリーペーパーの執筆、教科書系出版社勤務などを経て現在に至る。趣味は読書、映画・お笑い鑑賞。東京都出身。冬生まれだけど、寒いのは苦手です。