あなたは職場などで、ミスを指摘した時、相手に嫌な気持ちをさせてしまったことはありませんか?
こちらは相手のことを思って注意したとしても、相手のやる気がなくなってしまったり、自尊心を傷つけたりしてしまうこともあるかもしれませんね。
どうすれば、相手の気持ちに配慮してミスを指摘することができるのでしょうか。
今日は、心理カウンセラーが活用しているコミュニケーション方法の1つであるPNP法についてご紹介します。

PNP法って何?
PNP法は、行動科学から生まれた、相手と上手くコミュニケーションをとるための方法の1つです。特に、相手に言いにくいことを伝える時に役立ちます。
PNPのPは、「positive」、Nは「negative」、そして最後のPも「positive」を表します。つまり、日本語で言うと、まず「良い点をほめる」、次に「悪い点を指摘する」、最後に「良い点をほめる」という伝え方です。悪い点だけでなく、良い点も伝えることで、相手を嫌な気持ちにさせることなくフォローすることが出来ます。
具体的には、
(1)良い点をほめて、相手を承認する
例…「頑張ってるね」「よくやってくれたね」「いつも、ありがとう」
(2)悪い点や改善すべき点を指摘する
例…「もっとこうするとよくなると思うよ」
(3)良い点をほめて、応援する
例…「○○さんなら大丈夫だからね」「一緒に頑張っていこう」
このようにネガティブな言葉をポジティブな言葉で挟むことで、相手の自尊心ややる気を損なわせることなく、改善すべき点を伝えることができます。
PNP法を日常生活に活かしてみよう
それでは、実際に日常生活にPNP法を取り入れてみましょう。
ここでは、例として職場の先輩A美と後輩B太で考えてみましょう。
A美「会議の資料、まとめてくれてありがとう。短時間で、よくこんなに上手くまとめられたね」
→positive(良い点をほめる)
B太「ありがとうございます」
A美「それで、ここの表なんだけど、数字が少しおかしいみたいだから、もう一度確認してもらえるかな」
→negative(悪い点を指摘)
B太「え!すみません!」
A美「大丈夫!他は文章もグラフも上手く仕上がっていたからね。ここだけ手直しお願いね」→positive(良い点をほめる)
このように、最初と最後を「ほめる」ようにしましょう。ほめ言葉で短所をサンドイッチにする、というニュアンスがあるため、別名「サンドイッチ法」とも言われています。
ほめるのは、ささいなことで構いません。考え過ぎず、実践してみてくださいね。
PNP法がうまくいかない!・・・そんな時は…?
せっかく、PNP法で「ほめる」ことを増やしても、「悪い点を指摘された」という点だけが頭に残ってしまう人がいます。うつ病など精神的な悩みを抱えている場合、こういったことが起こりやすくなります。
このような場合、PNP法の効果は見込めません。症状を悪化させる恐れもありますので、その人の精神的なコンディションが戻るまで、指摘することは避けましょう。
反対に、PNPのPばかりが頭に残ってしまう人もいます。自己愛が強過ぎる人は、指摘(N)はすぐに忘れ、ほめられたこと(P)ばかりが残ります。ですが、このタイプの人は機嫌が良い時は、欠点を受け入れやすい傾向にあるので、そういう時を見計らって、根気強くPNPを試してみるのも良いかもしれませんね。
「ほめる」と「叱る」の黄金比率は、3:1!
人は、「ポジティブな感情とネガティブな感情がおよそ3:1の比率になると、意欲的に働ける」と言われています。ですので、一度注意をしたら、3倍はほめることを意識すると良いですね。
PNP法は、皆が意欲的に働くためにも有効な手段と言えるでしょう。また、職場だけでなく、家庭、友人関係など、様々なシチュエーションで応用できます。
相手の欠点や間違いが目についたときこそ、まず、相手をほめる意識を持つことを大切にしましょう。そうすれば、相手も嫌な気持ちをしなくてすみますし、あなたの言葉を前向きに捉えてくれるはずですよ。PNP法、ぜひ、活用してみてくださいね。
<関連コラム>